統計偽装は何が問題か

統計不正問題はなぜ起こった?世界と比較すれば分かる「最大の元凶」
(ドクターZ 2019.02.03 現代ビジネス) https://gendai.ismedia.jp/articles/-/59612)

という記事があった。要約すると次のようになる。

霞が関の統計に対する信頼が揺らいでいる。統計職員はここ15年で大きく減少し、先進各国に遅れを取っている。各省の減員幅を調整できないのは縦割り行政のせいだ。霞が関では文系官僚が跋扈し、彼らは数学の素養を要する統計を軽視している。スペシャリストの理系は出世できない。厚労省では医師の技官は局長止まりで統計ユーザーとしての能力が発揮されない。年金数理を扱う技官も縦割り行政のため旧労働省では活用されない。統計事務はさほど専門性のないノンキャリが担う結果、日本の統計業務は世界的に見劣りする。今回の不祥事は縦割りと人員・報酬カットのせいだ。

ドクターZという筆名(プロフィールにほぼ何も書いていないので実質は匿名だ)で適当なことを書いているものだ。日本で統計の地位が低いことは事実だろうが、いま問題となっている統計偽装は、理系だの数学だのという水準の問題ではない。官僚が適正手続を無視しているという問題だ。文系理系など噴飯ものの議論で、人員・報酬カットで水準が落ちたというのは倒錯した理解だ。日本ではデタラメな思いつきと派閥争いと集団思考で前提データなしに結論が先に決まり、その結論を正当化するための理論が捏造され、その理論に従ったデータが集められる。戦前もそうだったし、ここ20年ほどの劣化した政府でもそれが行われてきた。その程度の重要性しかあらかじめ与えられていない統計だからこそ、人員・予算が削減されてきたのである。人員や報酬を充実させても、日本政府あるいは日本人が右のようなデタラメな意思決定を続ける限り、統計の水準は下がることはあっても上がることはあるまい。また、官僚が適正手続を無視するというのは民主主義に対する重大な挑戦であって、テクニカルな是正が可能であるかのように語る人がいるとすれば、それは問題の隠蔽と改善と称する焼け太りを招くだけであろう。

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